ブログをご覧の皆様、こんにちは!
いであるです。
今回は、前回書いた、起立性調節障害(POTS)に苦しむお子さんの話の続きになります。
前編を読まれていない方は、こちらからご覧ください。
今回のケースでの復学準備でお子さんに手渡したものとは?
登校刺激を行い、本格的に、カウンセラーと復学に向けての準備を始めていきます。
お子さんには、第一優先である、規則正しい生活を取り戻していくために、「生活リズム記入表」を渡しました。
起床・就寝時間を記入していくシートです。
最初は、昼や夕方に起きたり、寝る時間が朝になるのは仕方ないのでありのままの時間を書いてもらうことにしました。
登校刺激の翌日に、訪問カウンセリングに入り、シートを確認すると、なんと昨夜の就寝時間は23時、朝は8時に起床と記入されていたのです。
登校刺激の疲れもあり、夜は、疲れて眠れたのかもしれません。
十分な睡眠時間が取れて、一時的に昼夜逆転が改善したと考えました。
しかし、ここで安心せずに数日様子を見ます。
毎日、おうちには行かないので、訪問カウンセリングに入っていない間は、親御さんに様子を報告してもらうようにしました。
時々昼夜逆転気味はあるものの、親御さんからは、「基本的には朝起きて、夜に寝ています」という報告が、当たり前のように来るようになったのです。
実際にカウンセリングに入る時も、わざと朝方に訪問することが多かったのですが、毎度、この子は起きていました。
今まで、できなかったはずのことが、分析により改善されました!
ここで、私は疑問に感じたことがあります。
あれ?起立性調節障害で朝起きられないはずでは?
病院では、「起立性調節障害」と診断されていました。
しかし、このお子さんの場合、カウンセリングを通して分析をしていると、大きな原因は「精神的なもの」だったということが分かったのです。
もしも今、「起立性調節障害」のお子さんがおられる方がこの記事をご覧になられていたら、「そんな簡単に起きられるなら苦労しないよ!」と思われるかもしれません。
しかしこれは、復学支援をしているとよくあるケースです。
このお子さんの場合は、私たちと一緒に朝起きの時間を決めることで、「起きる必要性」を理解してもらえました。
さらには「入浴や食事」、細かい部分で言うと「爪を切ること」など、規則正しい生活のために欠かせないことも、最初はカウンセラーが干渉して、行動に移してもらうことで、夜には寝られる環境を作り出したのです。
この生活リズムを身に付けるために要した時間は、たったの1ヶ月です。
これが短いか長いかは人それぞれ捉え方はあるでしょう。
ただ、私が、多くの「起立性調節障害」で悩んできたお子さんを見てきた中では、1ヶ月間で改善というケースは、早かったです。
寝る時間、起きる時間が整ってから、次に改善したこととは?
生活リズムが整い出してきた頃から、少しづつ、起きる時間を早めていきました。
誰でも、いきなり元に戻ることは、難しいので、コツコツと積み上げていき、起きられるという自信をつけていったのです。
こちらのお子さんの通っていた学校は、地域の公立中学ではなく、電車を何度か乗り継いで通学をする、私立の中学校でした。
そのため、今まで通りに登校をするためには、朝の6時には起きておかないといけません。
私たちが訪問するたびに起きた時間を確認するので、意識してくれたのでしょう。
もちろん寝坊してしまう日や、二度寝してしまう日もありました。
しかし、それは大きな問題ではありません。
「二度寝していいからね!」
これは、カウンセラーからも、よくお子さんに伝える言葉です。
とにかく、「毎朝自分で目覚ましを掛けて起きる」という習慣を“当たり前”にしてもらいました。
これについては、親御さんの声掛けでもかまいません。
復学当日に向けてのラストスパート期間の様子は?
実際に、朝起きて顔を洗ってご飯を食べて歯を磨いて…としていくと、ある日ふと気づきます。
「暇だな」と。
1日中家に居て、ずっとゲームをしていても飽きるし、常に学校のことが頭をよぎるという状態です。
復学日を一緒に決め、1ヶ月間生活リズムを直すための準備期間は設けましたが、生活リズムが戻ってしまうと、復学に対してのハードルが下がります。
もちろん、登校への様々な観点からの緊張はしますが、この段階までくると、学校に戻ることを少し楽しみに感じ始める子もいるのです。
訪問するたびに、それを苦痛に感じる様子もなく、しっかりと準備を進めてくれました。
元々、学習塾に通っていたので、勉強はそこまで遅れてなく、カウンセラーと一緒に学校の授業で行われている所まで、追いつくこともできました。
しかし、友達とのやりとりは、不登校中に遮断。
LINEも開けずに、未読のまま…。
カウンセラーと、1人ずつ返す内容を決めて、溜まっていたLINEのトーク画面の数字も、久しぶりに、0になりました。
それをきっかけに、徐々に友達とも連絡を取り始めていきます。
このように、復学の準備を1つずつ整えていきました。
いよいよ、復学日を迎えました!
復学日当日の朝。
私たちがおうちに訪問すると、そこには、制服姿のお子さんがいました。
既に朝ごはんを食べ、準備も終わらせて、少しの緊張感のある表情で、出発の時間までソワソワしている様子でした。
少しでも緊張をほぐすために、出発時間いっぱいまで、カウンセラーとゲームをして遊び、時間になるとゲームをやめて、いよいよ出発の瞬間です。
玄関先で数ヶ月ぶりに、ご両親に向かって「いってきます!」と言い、自信を持った足取りで学校に向かうことが出来ました。
私も後ろから様子を見ていましたが、その姿からは、少し前まで部屋から出られなかった、などという様子は、想像もできません。
友達と道中で待ち合わせをして、無事に門をくぐり登校!
復学を確認後、ご両親に報告をすると、涙を流し、喜ばれていました。
起立性調節障害と診断されても、復学は果たせますか?後編【まとめ】
私たちは「起立性調節障害だから仕方ない」と、復学や継続登校を、諦める必要はないと考えています。
「起立性調節障害」でも乗り越えたいお子さん、そして乗り越えてほしいと願う親御さん、いらっしゃいましたら、それぞれのお子さんに合った準備内容で、サポートをしていくことが可能です。
今回のお子さんは、現在も元気に登校し、ご家族との関係も、すっかり良好になっているとご連絡をいただきました。
お子さんは、たまに日常会話の中で、「あのときの俺の部屋、ヤバかったよね。恥ずかしいわ」と口にするそうです。
以前の自分は、既に過去の自分として、今は前を向いて歩んでいます。
「これからも支援を通して、悩み多きご家庭に“PLSならでは”のサポートしていきたい」
このように、改めて感じさせられたご家庭でした。
前編、後編の2回になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
次回のブログでお会いしましょう。
にほんブログ村
コメント