「学校に行きたくない」と言っているわけではない。
友達とのトラブルもない。
家庭でも、特に大きな問題はない。
それでも、朝になると学校へ行けない。
今回は、「学校には行きたいのに、なぜか行けない」状態から、約2ヶ月の不登校を経て復学した東京都の小学6年生の男の子の事例をご紹介します。
最初は玄関まで行けていたものの、そこで突然動けなくなり、夏休み明けには着替えることさえできなくなりました。
本人に「どうして学校に行けないの?」と聞いても、何も話してくれません。
ところが、PLSの復学支援を始めると、少しずつ本人の気持ちが見えてきました。
そして、本人から出てきたのは、
「ずっと学校を休んでしまったから、もうどうやって行ったらいいのか分からない」
という言葉でした。
今回は、この男の子がなぜ学校へ戻れなくなっていたのか、復学までにどのような支援を行ったのか、そして復学後はどうなったのかを、実際の支援の流れに沿ってご紹介します。
※こちらは実際の支援事例をもとに、一部内容を変更してご紹介しています。
突然、学校へ行けなくなった小学6年生

最初に欠席したのは6月中旬でした。
その日の朝も、いつも通り学校へ行く準備をしていました。
着替えも終わり、あとは玄関を出るだけ。
ところが、玄関で突然動けなくなってしまったのです。
親御さんが理由を聞いても、本人は何も話しません。
そのまま欠席が続き、約1ヶ月。
そして夏休みに入りました。
夏休み中は、
「夏休みが終わったら学校に行く」
「○○くんと遊びたい」
などと話し、家族と楽しそうに過ごしていたそうです。
ところが、夏休みが終わりに近づくにつれて、少しずつ表情が曇るようになりました。
そして迎えた夏休み明けの始業式。
朝起きて着替えるところまではできましたが、また玄関で動けなくなりました。
翌日からは着替えることもなくなり、欠席が続きます。
学校の先生に確認しても、
「友達とのトラブルは聞いていません」
「授業にもまじめに取り組んでいました」
とのこと。
家庭でも、暴言や暴力など大きな問題はなく、普段は穏やかに過ごしていました。
ただ、学校へ行く時間になると少し沈んだ様子を見せる。
「もう少し時間が必要なのかもしれない」と様子を見ていましたが、2ヶ月経っても学校へ戻るきっかけは見つかりませんでした。
そこで、夏休み明けから1週間ほど経った頃、PLSへご相談いただきました。
「学校に行きたいのに行けない」その理由とは

8月末から「不登校サポートコース」を開始。
まずは家庭での様子や親子の会話を確認しながら、本人が学校へ行けない理由を整理していきました。
以前から親御さんが本人に聞いても無言でしたが、本人の性格や家庭での会話の特徴に合わせて話を進めていくと、少しずつ本人が話し始めました。
涙を浮かべながら出てきた言葉は、
「ずっと学校を休んでしまったから、もうどうやって行ったらいいのか分からない」
でした。
最初に休んだ理由については、
「もうよく分からない」
とのこと。
今回のお子さんの場合、最初のきっかけ以上に、「長く休んでしまったこと」そのものが学校へ戻る壁になっていたのです。
さらに話を聞いていくと、
「学校には行きたい」
「友達とも遊びたい」
「ずっと行きたいと思っている」
とも話していました。
ただ、朝になると体が震えてしまう。
「学校が嫌だから行かない」のではなく、
「行きたいけれど、怖くて動けない」
という状態でした。
こうした場合、「学校に行きたいなら行けばいい」と伝えるだけでは、本人は動けません。
何が不安なのか。
何が学校へ戻る壁になっているのか。
一つずつ整理していく必要があります。
復学に向けて、一つずつ不安を整理

支援開始から数週間かけて分析を進め、9月中旬には訪問カウンセラーが本人と直接話をする「登校刺激」の対応を行いました。
そこで出てきたのは、
「友達に何て言われるんだろう」
「勉強についていけるかな」
「先生に何か言われないかな」
といった、さまざまな不安でした。
そこで、それぞれについて、
「どうしたら大丈夫なのか」
「もしそうなったらどうするのか」
を一つずつ具体的に整理していきました。
復学準備の途中では、教科書が見つからなかったり、体操服のサイズが合わなかったり、復学日が近づくと眠れなくなったりと、いくつもの壁がありました。
それでも一つずつ準備を進め、いよいよ復学前日。
男の子は緊張から、夜12時を過ぎても眠れませんでした。
それでも翌朝、7時に起きることができました。
朝食はほとんど喉を通りませんでしたが、淡々と準備を進めます。
そして、自分で決めた時間になると、
「行ってきます」
と親御さんに挨拶をして、カウンセラーと一緒に家を出ました。
復学当日の朝、親御さんには、できるだけ本人への声掛けを控えていただきました。
「大丈夫?」
「本当に行けそう?」
と声をかけたくなるのは当然です。
それでも、この日は必要な準備だけをして、本人を信じて見守る。
親御さんも、その一歩を見届けました。
その後、カウンセラーが校門まで付き添い、担任の先生へお子さんをお願いしました。
先生からは、
「真っ直ぐ下駄箱へ行き、教室に入ることができました」
と報告がありました。
支援開始から4週間。
こうして、男の子は学校へ戻ることができました。

復学後の経過|「思ったより普通だった!」

学校から帰ってきた男の子。
親御さんが一番気になっていたのは、学校での様子でした。
帰宅して最初に出た言葉は、
「思ったより普通だった!」
でした。
友達にも温かく迎えてもらい、休み時間には一緒にサッカー。
体育の授業にも参加することができました。
そして、
「明日は○○と一緒に学校行くから!」
と、翌日の登校についても自分から話していたそうです。
復学当日の朝まで緊張していた男の子が、帰宅後には自分から翌日の学校の話をしている。
今回のケースでは、その後も大きな問題が起こることなく、学校生活へ戻ることができました。
最初は玄関から一歩も動けなかった男の子が、友達と過ごし、体育にも参加し、翌日の登校を自分から話せるようになったのです。
もちろん、復学したらすべて終わりというわけではありません。
学校生活の中では、友達関係や勉強、朝起きることなど、さまざまな問題が起こることがあります。
だからこそ、復学支援で大切なのは、問題をすべてなくすことではなく、
「問題が起きたときに、家族で乗り越えていける状態をつくること」
だと私たちは考えています。
今回のように、
「学校で何かあったわけではなさそう」
「家庭では普通に過ごしている」
「本人に聞いても何も話してくれない」
「学校には行きたいと言っているのに、朝になると動けない」
という場合でも、まずは今のお子さんの状態を整理することから始められます。
「もう長く休んでいるけど、どうしたらいい?」
「夏休みが明けたら行くと言っていたのに、まだ行けない」
「本人に何を聞いても話してくれない」
そんな場合は、一度PLSへご相談ください。
すぐに復学支援を始める必要はありません。
まずは、
「今、何をしたらいいのか」
「逆に、今は何をしないほうがいいのか」
を一緒に整理していきましょう。
不登校の期間が長くなっていても、そこから学校へ戻るための道を考えることはできます。
今回ご紹介した男の子も、最初は玄関から一歩も動けませんでした。
それでも最後には、
「行ってきます」
と、自分の足で学校へ向かうことができました。
PLSでは、全国を対象に訪問カウンセリングを取り入れた復学支援を行っています。
「うちの子の場合はどうなんだろう?」
そう思った段階でも構いません。
まずは、今のお子さんの状況をお聞かせください。
一緒に状況を整理しながら、今できることを考えていきましょう。

※メールでのご相談をご希望の方は、こちらのお問い合わせフォームもご利用いただけます。
→ お問い合わせはこちら
活動範囲
PLSの復学支援は、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州と全国対応しています。
訪問支援の実績がある地域
これまでに以下の地域へ訪問し、対面での復学支援を行ってきました。
北海道
東北/宮城県・山形県・福島県
関東/茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・長野県
北陸/新潟県・富山県・石川県・福井県
中部/岐阜県・静岡県・愛知県・三重県
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